この"健康"というテ-マは環境、21世紀、未来の労働、ベ-シックニ-ズなど、テ-マパ-クと呼ばれるエリアの11のテ-マの中から我々が選択したものである。このテ-マパ-クでは全ての展示計画が既存の建物(メッセ)を使って展開されている。
ここで徹底しようとしたのは"身体"を通じてもう一度我々自身の"健康"とは何かを問うことであった。生身で感じる身体、言いかえれば"ものとしての身体"に加えて、現代のテクノロジ-の発達とメディアの情報量により頭(脳)の中で誘起される"イメ-ジとしての身体"が新たに実現している。現代においてはある瞬間にはむしろ"イメ-ジとしての身体"の方が現実に近い側面を浮上させるのではないだろうか。
我々は始めにこの"ものとしての身体"と"イメ-ジとしての身体"を水というメタファ-を用いてフィジカル ウォ-タ- シアタ-とヴァ-チャル ウォ-タ- シアタ- という二つの性格の異なる劇場によって表現しようと試みた。次第にこれが1つの空間として統合されるようになり現在のメイン・スペ-スとなっていった。
会場の構成は入り口付近のウェイティング・エリアという待ちスペ-ス(約3,000人許容)とメイン・スペ-スの二つの空間に分かれている。ウェイティング・エリアでは25体の大小様々なツリ-と呼ばれるバル-ン状のオブジェにWHO(世界保健機構)が主張する各国の病気の状況や対策に関する情報が掲載されている。
メイン・スペ-スでは先に述べたフィジカル ウォ-タ- シアタ-としてゆりかごのように揺れる120台のリラックスチェア-が池(水)の周りに配置されている。 またヴァ-チャル ウォ-タ- シアタ-として3層のレイヤ-で構成されている壁状の布スクリ-ン(高さ7m長さ90m)には11台の400インチビデオプロジェクタ-がリアから、白い床には天井から115台の200インチビデオプロジェクタ-によって主に身体のマイクロスコピックな映像が投影される。 さらに壁のスクリ-ンにはフロントから世界5カ国で取材したWHO監修によるドキュメンタリ-が5箇所のスポットで映しだされる。映像は約15分で1ロ-ルし、中間にホワイトアウトと我々が呼ぶ空間全体が真っ白な状態になる時間帯を設けている。
この交錯する2つの劇場においては、観客自身が時に主役を演じる役者であり、また構成要素の一部にもなる。つまり観客を含めこの空間にあるもの全てが健康について再思考するための装置としての役割を担っている。