東京世田谷の静かな住宅地に建つ夫婦二人の生活の場である。
全てのストラクチュアにアルミニウムを用いて、住まうための様々な場だけがさりげなく用意されているような、軽快で快適な空間をつくることを意図している。水廻りを含めた普段の生活空間は全て1階にあり,2階にはゲストルームとルーフテラスが設けられている。アルミの特性を利用することによって、構造体・間仕切り・建具等の間に通常発生する序列関係は極限まで弱められており, プラン中央に設けられた2層分の高さを持つ半屋外的空間(サンルーム)が室内にもたらす光や風の効果ともあいまって、やわらかく仕切られたワンルームのような,明るく流動的な空間となっている。
アルミリブパネルを用いた面的なストラクチュアは力の流れを分散的にするから、個々の部材のメンバーは極端に小さなものとなる。同時に、アルミの可塑性と耐久性を利用して、構造パネルはそのまま外装材として用いられ,サッシュ枠は柱と一体化されている。その結果,ストラクチュアはそれ自身として強く存在することをやめ,建具や家具と等価なものとなっている。アルミ特有のやわらかな素材感や,アルミ部材の持つ高い精度がもたらす抽象的な印象はストラクチュアの存在感をますます希薄にしている。