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洪水時に水に浮かぶ家 フロートハウス


アメリカの建築設計事務所モーフォシスが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の卒業生たちと協力して、ニューオリンズでブラッド・ピットのメイク・イット・ライト・ファンデーションのために、フローティング・ハウス(水に浮かぶ家)を完成した。

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水面が上がると水に浮くので洪水に耐えるようにデザインされたこの家は、価格も手頃である。


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プレハブ台座の上に建てられており、発砲スチロール製で表面はグラス繊維補強のコンクリートに覆われている。



このため家はラフトのように、くいによって固定されたまま水位3.7メートルまで上昇するようになっている。


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居住者が洪水時に家に留まることは想定していないが、嵐がおさまった後居住者がすぐに家に戻ることは、この設計なら可能だろうと建築者は考えている。




メイク・イット・ライト・ファウンデーションが行うのは、2005年のハリケーン・カトリーナによって家を失った家族のために、手頃な価格でサステナブルで、嵐にも強い150件の家を建設することである。詳細については以前の記事を参照。


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モーフォシスからの更なる情報は以下。



ニューオリンズを拠点とするモーフォシス建築事務所のトム・メイン教授と、UCLAの卒業生たちが、アメリカでは初許可となるフローティング・ハウスを完成させました。


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ブラッド・ピットのメイク・イット・ファウンデーションの一環として、洪水時に水位が上がると自動的に反応して水に浮かぶ家、価格も手頃でサステナブルな、フロート・ハウスがデザインされました。プロジェクトは、隣接地域一帯の過去の記録、社会・文化的な歴史と生態系を考慮して開発されました。


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トム・メイン教授の指導の元、モーフォシスと学生たちが一緒になって、このフロート・ハウスを開発しました。これは学生たちにとって、世界に変化を与える活動に参加する機会を提供すると同時に、人が居住する地区に社会的影響を及ぼす現実のプロジェクトの一員となることを意味しました。


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モーフォシスのフロート・ハウスは、トム・メインと彼の率いるモーフォシス建築事務所、そしてUCLA卒業生たちがメーク・イット・ライト・ファウンデーションのために作ったもので、アメリカ初認可のフローティング・ホーム(水に浮く家)です。


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ニューオリンズ

ニューオリンズのブラッド・ピットのメイク・イット・ライト・ファウンデーションのために、有名建築家でUCLAの著名な教授でもあるトム・メイン教授の指導の元、モーフォシス建築事務所がアメリカでは初認可となるフローティング・ハウスを完成しました。フロート・ハウスは、洪水でも安全で価格も出頃なサステナブルな家のニューモデルで、水位が上がっても固定されたまま浮かぶようデザインされています。


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ハリケーン・カトリーナ被害を受けた下9地区を復興するこの革新的な住居プロジェクトで、メイン氏はモーフォシス建築事務所ならびにUCLA建築&都市デザイン学科卒業生からなるチームを率いました。計画のコンセプトは、街の洪水記録、社会・文化史、そしてミシシッピ河デルタ地区の生態系の研究などを考慮に入れた結果、浮かび上がってきたものです。フロート・ハウスの研究、開発、デザイン、建設においてモーフォシスとUCLAがコラボすることは、学生たちを社会的に影響を及ぼす現実世界のデザインにかかわらせようという、両者共通の目標を体現しています。


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洪水が起きた際には、家の基盤(台となっている部分)がラフトとなって、水位12フィートまで、支柱に固定されたまま垂直に家が浮上します。ハリケーン時に居住するためではないものの、この革新的な構造は壊滅的な被害を最小限にとどめ、家財道具などの居住者にとっての価値を持つものをできるだけ失わないようにすることを目的としています。ハリケーンや洪水の後で、家主が1日も早く家に戻れることも考慮にいれています。


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「ブラッド・ピットはメイク・イット・ライトを始めたときに、嵐や洪水が来ても大丈夫な、頑丈で安全でより良い家を建てることを手伝うと、下9区の人たちに約束しました。フロート・ハウスによって我々はその約束を果たすことができます。この家によって、洪水から家を救い再興する技術が初めてアメリカ人にもたらされました。このアプローチとデザインは、現在気候変動によって増えた洪水で危険にさらされている世界中の国々で、再現できる、いや再現されるべきです」メイク・イット・ライト・ファウンデーションのエグゼクティブ・ディレクターのトム・ダーデン氏は言います。


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9区居住者のニーズに対応してデザインされたフロート・ハウスですが、大量生産にも適しており、同様の災害に悩む世界中のコミュニティのニーズにも様々な形で適応できるプロトタイプとなっています。最新式のこの家は、LEED(米国の環境建築基準)でプラチナ認可を申請中ですが、高効率のシステム、エネルギー効率の高い電化製品、プレハブ方式を採用することで、電力を自分たちで作り資源消費を最小限にとどめ水も自力で供給する、サステナブル、かつ価格も手ごろな家となっています。


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ニューオリンズ伝統の「ショットガン」ハウス同様、フロート・ハウスはコミュニティに欠かせないフロート・ポーチ文化を守り、また高齢者や身体に障害を持つ居住者を考慮して、一段高く4フィートの基盤の上に建てられます。この高性能な「台座部分」はプレハブのモジュールで、グラス繊維増強のコンクリートに覆われた発砲スチロールからできており、電力、水、そして綺麗な空気を供給するために欠かせないすべての装置が備え付けられています。台座は様々な型の家にも対応して設計されています。


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トム・メイン氏はこのプロジェクトへの参加について「メイク・イット・ライトがイニシアティブを持って行うプロジェクトのとてつもない可能性は、すぐに理解できました。不安定な生態系を抱える下9区に、いかに再び人を居住させることができるか?水位の上昇は、世界中の沿岸都市で深刻な脅威となっています。こうした環境問題は抜本的な解決策を必要としています。我々はこれに対し、持続可能で大量生産ができて組み立て式、しかも浮上するという安全面でも革新性を持った、非常にパフォーマンスの良い1000平方フィートの家を開発したのです。



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モーフォシスのフロート・ハウスはアメリカでは初許可となりますが、この技術はオランダで開発され実際に使われています。気候変動の影響で海面の水位が上がったせいで生まれたこうした家への需要増加に対処するため、オランダでは建築家と開発業者が共同で動いています。


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UCLAのキャンパスでモーフォシス建築事務所とUCLA大学院生によってデザインされ組み立てられた台座は、2009年7月にニューオリンズに輸送され、現地でグループがデザインしたプレハブのモジュールに組み立こまれました。建築作業はゼネコンのクラーク建設グループが無償で行いました。



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阿部仁史UCLA建築・都市デザイン学科学科長は以下のように述べています。

「学生たちは、洪水被害を受けたコミュニティに、手ごろな価格のサステナブルな家を建てるという、リサーチやデザインを現実問題に応用できるユニークなプロジェクに参加でき、感動していました。置かれた状況下で学生と教授陣が効果的な解決策を開発、評価しようと奮闘する中で、応用研究のデータが実用的な手法を変えることを、我々の成功が実証しています。学生と教授、そして外部の専門家たちの緊密なコラボが、傑出した創造性とエネルギー溢れるスタジオのような独特な環境を作り出したのです」。




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メイン氏率いるモーフォシスは、メイク・イット・ライト・プロジェクト第一フェーズに参加するよう選ばれた地元、全米、そして海外からの建築事務所13チーム中のひとつでした。手ごろな価格でサステナブルで、尚且つデザイン性に優れた品質の高い家を作るために、各建築事務所が呼ばれ「ショットガン」ハウスなどニューオリンズの伝統的な家々が再考されたのです。フロート・ハウスは、コミュニティの文化を保存する一方で、住むところがなくなった家族に洪水時にも安全な家を提供して、下9区の再開発を促進するというメイク・イット・ライトの使命をサポートするでしょう。



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Make it Rightについて


メイク・イット・ライトは、ハリケーン・カトリーナの被害を受けた下9区の住人たちの生活とコミュニティ復興援助のために、2007年12月に俳優のブラッド・ピットによって始められました。当初の目標は、ハリケーンが襲ったときに下9区に住んでいた家族のために、最低150件の手頃でサステナブルで嵐に強い家を作ることでした。メイク・イット・ライトの家は全て、LEEDのプラチナ認可を受け、全米グリーンビルディング評議会(USGBC)からエネルギー効率性とサステナビリティの最も高い建物としての評価を受けています。そのためUSGBCによると、メイク・イット・ライトのプロジェクトはアメリカでの「一軒家からなる最大のグリーン・コミュニティ」と称されました。メイク・イット・ライトは2009年12月までに50件、そして2010年12月までに150件の家を完成させる予定です。


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モーフォシスについて


モーフォシスは、革新的な建造物と都市環境を生み出すための綿密なデザインとリサーチに取り組む実践集団です。そのプロジェクトは世界中にわたり、住居、企業、文化、公共建造物を含んだ幅広い種類、サイズのプロジェクトに関わっています。モーフォシスは25の前衛的な建築賞を受賞し、アメリカ建築家協会(AIA)からも90以上の賞を受賞、他にも多数の受賞をしています。モーフォシスは世界中の学術団体と協力して、現代の都市問題に関する包括的な研究を行い、LA Now(第1巻から第4巻)を含む一連の出版物を発行しています。

フェイドン・プレス社からは2003年モノグラフ、リッゾーリ・インターナショナル社からはモーフォシスの全作品を網羅した全5巻が出版されるなど、20以上の出版物がモーフォシスを研究テーマとしています。


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UCLAアーキテクチャー&アーバン・デザインについて


UCLA芸術建築学部の建築&都市デザイン学科は現代建築の国際舞台では中心的な存在です。生徒の中には、栄えあるプリッカー賞受賞者から将来活躍することが期待される才能の持ち主などが多くおり、世界レベルの教授陣と一緒に学びながら、デザインに対する最もクリエイティブなアプローチ、先進的な技術開発、今ある建築思想への綿密なアプローチを統合する方法を日々身につけています。21世紀の偉大な都市のひとつであるロサンゼルスをモデル、研究所、誘発剤として利用することで、この学校の革新的なプログラムは、学生たちに建築家、都市思想家、批評家として現代デザイン文化に入り込んで行くための手法と考え方を与えます。



クラーク建設について


クラーク建設グループは1906年の創立時より、全米で最も実績を持ち評判の高いゼネコンのひとつとしての名声を築いてきました。年商40億ドル以上、クラークは常に全米最大の建設会社のひとつとしてランクされています。本社はメリーランド州ベセスダにあり、全米にわたる官民両顧客の多様なニーズに対応するために、戦略的な支店の配置を行っています。寄付金、現物寄付、ボランティア・サポート、奉仕活動を通じて、クラークは同社が仕事を通じて関わっている地元コミュニティに還元をしているのです。クラークのハリケーン・カトリーナ災害後の援助活動は、2005年にルイジアナ州バイユーラバトレの診療所と図書館の修復を手伝ったときに始まりました。


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フロート・ハウスは、メイク・イット・ライト・ファンデーションのためにモーフォシス建築設計事務所がUCLAの建築&都市学科と共同で開発した設計―建設プロジェクトです。


このプロジェクトはモーフォシス設計建築事務所、クラーク建設グループ、UCLA 建築&都市デザイン学科、UCLA 芸術建築学部からの惜しみない援助により可能となりました。

更なる援助がThornton Tomasseti, Inc.、IBE Consulting Engineers, Inc.、Strata International Group, Inc.、SwissPearl、DEMODE by Valcucine、Pan Pacific Plumbing、Epo Solarによって提供されました。



投稿者/ローズ・エサリントン 

翻訳者/ハートフル・ジャパン 武田浩美



Dezeen.com オリジナル(英語)はこちら


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