日本市場に向けた新生カナダを木材の魅力を最大限に活かしながら表現!
カナダは材木輸出世界No.1のシェアを誇る。国内に材木を扱う会社はおよそ300社あり、主な輸出先はアメリカ、次いで日本だ。両国はカナダにとって大きなマーケットであり、材木輸出の歴史は古く、Lumber(カナダ産の粗加工された材木)のイメージが定着している。
Kanadaからダ! の展示には、5つのデザインスタジオが参加しているが、いずれも深い森林を持つカナダの自然豊かな風土が育てた感性を感じ取ることのできるデザインインテリアが出展され、カナダの産業=材木であるという固定概念を払拭する内容となった。
Kanadaからダ! のブース全体をオーガナイズしたBCウッド日本代表であるJim Ivanoff氏は言う。
「材木のイメージの強いカナダが、デザイン性でも優れていることをアピールしたかったんです。
カナダを“Kanada”と表記したのは、日本に向けた新しいカナダであることを伝えたかったから。“からダ!”は響きが面白いかなぁと思ってこんなネーミングになりました。
カナダ人の感性は、アメリカ人やヨーロッパ人のそれとはやはり少し違っています。物腰柔らかで穏やかなイメージを持たれがちですが、実はユーモアあふれる国民性なんです。ハリウッド映画などで活躍するコメディアンはカナダ人が多いんですよ。
ヨーロッパや米国では、木製の家具はクラシカルなものであるという認識が強いですが、カナダ人は木を使ってモダンな家具を作る。日本もまた木の文化だから、こうしたカナダのデザイン家具はきっと好まれると思いました。
東京は非常にエキサイティングな都会です。ですがカナダ人のデザイナーにとっては、東京と同じように日本の伝統工芸品が有名な富山や金沢も好ましいのです。漆は樹液ですし、木製の伝統家具の美しさは賛美に値します。樹木に慣れ親しみ、森林とともにモノ作りをするカナダ人デザイナーにとって、日本の伝統家屋や家具の魅力は多分に共感できるものなのです」
Kanadaからダ!の展示品はすべて、土に還る天然の素材が使われていた。それだ け自然に対する思いは強く、環境への配慮、こだわりもひとかたならないのだ。
「カナダは世界No.1の木材輸出国であり、輸出の長い歴史を持ちながらも、人の手が入っていない天然の森が豊富で、伐採しているのは全体のおよそ0.3%。つまりほとんど無に等しいわけです。
カナダ人は森林に対して感謝の気持ちが非常に強いんです。暮らしと森の距離が近く、工業もさることながら、心身の健康も森による部分が大きいことを理解しているのです。ですから樹木の伐採には厳格なルールが設けられています。伐採しすぎないことはもちろんですが、伐採後は同じ種類の木を植樹するのです。
他国では残念なことに杉など成長の早い種類に植え替えるため、森の多様性が損なわれつつあります。見た目は同じような森でも、違う森になってしまうのです。カナダはそれは絶対にしません。限りある他の天然資源と違って、森は必ず再生するからです」
樹木の種類が豊富なカナダでは、それぞれの樹木の持つ特性を活かした輸出をし ている。例えば、カナダツガはヤニが出ない材木で、100年前から日本に輸出さ れているが、東京大震災の時には多く輸出され復興に役立てられた。一方、水に 強いカナダスギは、屋外やデッキテラスなどを作る目的で輸出される。
多くを享受しているからこそ、森林の状態を保ち、なおかつ多様性を守るための ルールが大事なのだ。カナダにおける森林と人との関係は、生態系を崩すことな く何百年先も人と森林が共存してゆける理想形と言えるだろう。
アルダーコレクションは榛の木(alder)を使用しており、木の魅力を最大限に活かしたモダンなシリーズとなっている。
「アルダーコレクションで使用している榛の木はPioneer Tree(開拓の木)と呼ばれています。例えば山火事などで森林が燃えたときに一番最初に戻ってくるのが榛の木だからです。榛の木は他の樹木や動物の呼び水となり、森林は徐々に蘇ります。つまり榛の木は森の再生に不可欠な存在なのです。
榛の木は幹も枝も細いため、材木として使用されることはほとんどありません。それを敢えて素材として選び、シリーズ化したのがアルダーシリーズなのです」
森林という物語をインテリアとしてリビングに持ち込んだのがアルダーシリーズだとデザイナーのBrent Comber氏は言う。そのデザインに込められた森林への憧憬は深い。
「わたしは樹木そのものよりは樹木の間にできる空間に惹かれます。細かい榛の木の幹や枝を組み合わせて隙間を作ることで、森の空間そのものを再現しているのです」
奥のパネルに展示されていたオブジェの名前は“Birds Eye”。通常はイタリアなどに窓枠として輸出されるツガの角材を用いたもので、飛行機から見下ろした都市を表現している。
Interstyle Ceramic & Glass Ltd.は世界で初めての硝子タイルの会社で、30年の歴史を持つ。強度が非常に高く、キッチンやバスルーム、あるいはプールなどに使用されている。
展示には色彩豊かなタイルのほか、テーブルウェアも並べられ、カナダの産業は木材だけではないのだということを強く印象付けた。
同社の硝子タイルは、色味、柄、オリジナルモザイクなど、カスタムメイドでオーダーすることも可能だ。
度肝を抜くようなユニークなフォルムのデザインインテリアが展示されたStraight Line Designs Inc.。自由奔放で、童話や漫画に出てきそうな空想の世界が現実空間にそのまま飛び出してきたかのような楽しい気分にさせられる。
TDW2008最終日にブース内にポップなイラストを描き出したデザイナーのJudson Beaumont氏は、やはりカナダ人が森林を大切に思う心を持ち合わせている。
オーガナイザーのJim Ivanoff氏がその想いを説明してくれた。
「このチェストの扉に装飾として用いられている木片(一見、石のタイルのように見える)には、ブルーの色素が入っています。実はこれは、樹木に虫が寄生し、毒素を出すことで入った色素なんです。この青い色素は材木の品質には影響がなく、単に色が入っているだけの状態ですが、例えば日本では白い材木が好まれるため、品質検査で省かれてしまいます。
このチェストをデザインしたJudson Beaumontは、青い色素の入った木片を美しいデザイン家具として活用できることを表現したのです」